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食品新製品トレンド記事 この人とマーケティング
オイシア株式会社は、カルビー株式会社のシリアル事業が分社化されて誕生したメーカーである。
1988年当初、シリアル事業に参入したカルビーは、「グラノーラ」を中京地区でテスト販売開始。91年には、フルーツの入った「フルーツグラノーラ」発売。97年にグラノーラカテゴリーを一本化したこともありマーケティング強化がなされ、翌年は大きな注目を集めた。
そして2011年、「フルグラ」として再び脚光を浴びた同品は、現在売上高60億円(12年度見込み)、前年比160%以上の着地見込みと急成長を見せており、14年には100億円の売上を目指している。
発売から22年という長い年月を経て、今大注目の「フルグラ」について、オイシア株式会社 マーケティング部の網干弓子氏に話しを聞いた。
網干 当社のシリアル事業は、“栄養強化型”と“フルーツ入り”の2本柱でしたが、97年に“フルーツ入り”商品に一本化しました。
こうした商品はこれまで市場になかったため、消費者の注目を集め、食物繊維が豊富でさらにフルーツ入りのグラノーラということで受け入れられました。
この市場の動きに対し、当社も営業により注力し、マーケティング強化が図れたからだと考えています。
網干 ザクザクとした楽しさ抜群の穀物の食感と、それに合うフルーツの組み合わせで生まれたおいしさ、そして彩りのよさが最大の魅力だと思います。
香ばしく焼き上げた穀物の食感は、他社には真似できないと自負しています。当社のスナックで培った技術を駆使して、硬さや大きさ、焼き具合など何回も試作を重ねました。
また、牛乳を入れた後の食感の保持時間の長さも、同品の魅力だと思います。
フルーツに関しては、発売当初のグラノーラには、レーズン、クランベリー、パイナップルを使用していました。そして02年に日本人が好むフルーツとしてイチゴ、さらに05年にりんごを追加しフルーツの種類を見直したことで、グラノーラは再度人気を集めました。
日本人は食感や味だけでなく、見た目も大切にしますよね。そのため、海外から入ってきたグラノーラを日本人の味覚や五感に合う商品に改良し続けました。たとえば、イチゴは切ったときに赤と白の色合いが見えるものです。こうした見た目のこだわりなども追求しているんですよ。
シリアルは“子ども向け”で、かつ“外国から入ってきた商品”としてのイメージが強い中、突然、日本のメーカーが作った大人向けの商品として登場したため、当時としては画期的だったのではないでしょうか。