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食品新製品トレンド記事 この人とマーケティング
素材の味がたっぷりと楽しめる「素材りこ」シリーズ。人気の「じゃがりこ」の姉妹品で、トウモロコシやエダマメなどを主原料としたスタンドパックタイプのスナック菓子だ。包装形態やデザインを変えながら、08年からエリアやチャネル限定でテスト販売を繰り返してきた「とうもりこ」も18年には全国展開へ。その後「えだまりこ」や「さつまりこ」も仲間入りし、今年に入って期間限定で「あずきりこ」も投入するなど、スタンドパック商品として売り場づくりにも注力し新たな展開を進めている。
とはいえ発売からまだ2年ということもあり課題は山積。なかでも一番の問題は「じゃがりこ」に勝てないこと…。どうすれば「素材りこ」シリーズが定着するのか。商品設計から売り場づくりに至るまで着手した、マーケティング本部 商品2部1課 松下千桂氏に話を伺った。
松下 まず2008年に初めて「とうもりこ」をテスト発売しました。当時の商品は「じゃがりこ」よりもふた回りくらい小さいミニカップタイプで、某CVSの一部店舗でテスト販売をしたところ、売れ行きは好調でした。
しかし人気の「じゃがりこ」よりも小さいのに1.2倍くらいの売価設定だったため、これで全国展開とするには不安が残るといった状況でした。またその時は量産できるラインも持っておらず、付加価値を訴求でき、少量生産で販売が可能な北海道のお土産として扱うことにしました。
一方では全国展開への試みも継続しており、12年に現在のようなスタンドパックタイプの包装形態に変更、価格も見直して「えだまりこ」と共に某CVSやSMの一部店舗でもう一度テスト販売を開始しました。さらに14年には静岡エリア全域の小売業、直営店の「カルビープラス」でもテスト販売を行ったところ、一時、店頭で商品が足りなくなるほど売れ行きがよく、需要があると確信しました。量産設備も整え、18年についに10年越しの全国発売に至ったのです。まずは4月に「とうもりこ」を、7月に「えだまりこ」を発売しました。
松下 95年に「じゃがりこ」を発売したのですが、あの独特の堅めの食感がうけて大変ヒットしたことから、ジャガイモ以外の素材で同じような食感の菓子を作れないかと考えていました。そこでまず候補にあがった原料がサツマイモで、99年にカップタイプの「さつまりこ」が誕生しました。「とうもりこ」「えだまりこ」については、スナック菓子に使われる素材の中で市場の大きいトウモロコシ、市場が伸長傾向にあった豆を選定し、開発を進めていきました。
松下 フレーバー展開は「じゃがりこ」で行っているので、これとは違った切り口でお客様に提案したいと考えました。そこで着目したのが「じゃがりこ」の食感です。この食感を生かしつつ素材を変えたものこそ、お客様に価値があるものとして提供できるのではないかという仮説から始まっています。