目次
- 「アルファベットチョコレート」の50年
- 東日本ならではの障壁と支え続けた消費者の存在
- 新型コロナが追い風となった50周年の感謝を伝えるキャンペーン
- よりよい商品を届けるための若年層を惹きつける戦略
- 袋チョコの域を超えた2020年秋冬の新商品
「アルファベットチョコレート」の50年
名糖産業が誇るロングセラー商品の「アルファベットチョコレート」。その歴史は1970年に始まった。当時はまだ高級品だったチョコを、家族みんなで楽しんでもらいたいという想いから、日本初のファミリータイプチョコとして誕生した。
「こだわりの1つは、カカオ豆から作るということです。チョコレート製品を製造する際、既製のベースから作るよりも巨額な設備投資と時間がかかるのですが、出来上がった時に絶対的な違いといいますか、独特な風味が出てくるんです。それがおいしさの秘訣でもあると考えてきました。2018年9月に瀬戸新工場が稼働したのですが、そこではカカオ豆の焙煎や選別など特に力を入れています。カカオ豆からカカオリカーを製造する一連の設備は、チョコレートの本場であるヨーロッパから輸入したもので、今回の設備投資の多くを占めます。さらに現地から技術者も呼び、新工場でも従来の『アルファベットチョコレート』の味を作り、お客さまに届けるための調整を繰り返し行いました」と安川氏は語る。
また、同品の滑らかな口溶けには、ロール掛けからコンチング工程の手間の掛け方が関係しているという。
「この工程にはかなりの時間と労力を費やしています。そうすることで舌触りがともて滑らかになるんですね。ファミリータイプチョコでここまで手間をかけるのは、なかなか珍しいと思います」(須田氏)
そして、「アルファベットチョコレート」の代名詞といえば“ひねり包装” だろう。いわゆるキャンデー包みに四角いチョコが一つ一つ個包装になっている。実はここにも同社のこだわりが詰まっているという。
「お子さんからお年寄りまで誰でも簡単に開けられるように、発売以来一貫してひねり包装を採用しています。ですが、ひねりが弱いと途中でほどけてしまいますし、強くても破れてしまう。こ の力加減には微妙な調整が必要です。ピロー包装と比べてバリア性が劣るといった問題もあるのですが、『このひねりこそアルファベットチョコレートでしょう!』というお客さまが多くいらっしゃるので、変えられないですね」と安川氏は笑う。
名糖産業がチョコレート作りに注ぐ手間と労力。そして一切の妥協を許さない姿が多くのファンを魅了し続ける理由の一つなのだ。
