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食品新製品トレンド記事 この人とマーケティング
世界初の市販用レトルト食品「ボンカレー」は、大塚食品が1968年に発売し今年で54周年目を迎えるロングセラーアイテムだ。レトルトカレーの定番として家庭に定着した同品だが、昨今の新しい生活様式が浸透し、自宅での調理回数が増えたことや備蓄としての需要などからレトルトカレーの食卓出現率は増加した。その中で、レトルトカレーを食べる際にアレンジを加える消費者が多いことから、同社は『調理用レトルトカレー』の可能性を見出し、この度の「ボンカレークック」誕生に至った。
調理用レトルトカレーとして、同社初の“具のない”レトルトカレーである。そのため、特に味づくりについては研究を重ねて仕上げている。同品の開発から販促に至るまで、製品部 伊藤征樹氏に話を伺った。
伊藤 開発に至った経緯は大きく分けてポイントが3つあります。まず1つ目はレトルトカレー市場の拡大です。2017年にルゥタイプとレトルトタイプの市場規模が逆転しました。その背景には個食化や共働き世帯の増加、さらに消費者の嗜好性の高まりにレトルトカレーが対応できるようになった、という点が挙げられます。こうしたところから当社も新しい提案ができないかと考えていました。
2つ目は新しい生活様式によるものです。コロナ禍により家で料理をする機会が増えた一方で買い物には頻繁に行きにくい環境となり、ストック需要が増え、また簡便性も求められるようになりました。こうした中で、「ボンカレー」のもつ“家庭の温かい味わい”をコンセプトに消費者の困りごとを解決できないかと考えました。従来の「ボンカレー」シリーズだけでなく、新しい価値提案をすることで、新規レトルトユーザーの獲得や、レトルト商品の価値を提案したいと思ったのです。
そして3つ目は消費マインドの変化です。以前よりレトルトカレーをアレンジして自分なりの楽しみ方をされている傾向が見受けられました。料理に簡便性を求める一方で、手を加えてポジティブに楽しむ人もいるのです。当社調べでは、「毎回、もしくは2、3回に1回はレトルトカレーをアレンジして召し上がっている」と答えた人が60%もいたことも分かりました。この傾向はコロナ以降に、より加速した模様です。自分なりのアレンジを加えSNSにアップするような、在宅での料理を楽しむという前向きな姿勢が感じられました。