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食品新製品トレンド記事 この人とマーケティング
(株)永谷園は、お酒を飲む人が思わず反応してしまう即席みそ汁とスープを発売した。その名も「1杯でしじみ70個分のちから」シリーズである。09年9月7日<みそ汁><カップみそ汁><しじみわかめスープ><しじみのお吸いもの>の4種類を全国発売し、売り上げを伸ばし続けて09年の第28回優秀ヒット賞(日本食糧新聞社制定)を受賞した。
同シリーズは、アミノ酸の一種であるオルニチンを1食あたり25mg含有しているのが、最大の特徴。オルニチンは一般の食材にはあまり含まれていないが、味噌で“大豆発酵オルニチン”を生成する業界初の独自製法を確立した。肝機能を高め、二日酔いに良いとされる新たな付加価値商品として、低価格志向が止まらない中、存在感を強めている。
「1杯でしじみ70個分のちから」シリーズが発売されたいきさつや商品展開、戦略などについて、マーケティング本部研究部 部長 熊谷道正氏と同本部 マーケティング企画部 商品企画第2グループ 小川菜穂氏に聞いた。
熊谷 偶然見つかった“オルニチン”との出会いですね。
研究部では、日々次なる商品開発でのシーズを探したり、作ったりしています。違う目的でアミノ酸の研究をしていると、たまたまキャベツの葉からオルニチンを作る乳酸菌をみつけました。それが、植物性乳酸菌「ラクトバチルス・ブレビス9E53」であり、これが、アミノ酸の一種であり肝機能の高めるというオルニチンを特異的に産生させるのです。
オルニチンといえば、「シジミ、味噌との相性がいい、そして肝臓にいい」と瞬間的に浮かびました。
今までも、味噌汁に機能性という付加価値をつけるために多くのメーカーも取り組んできましたが、なかなか味噌とのマッチングというのが難しい。オルニチンなら、相性がいいのではないかと考えたのです。
消費者にうまく伝われば、支持される自信がありました。しかし、問題になりそうだったのが“オルニチンの認知度”です。まずは、社内の企画会議で何とか商品化するためにプレゼンに工夫をしました。