目次
- 繊維や化粧品と共に大きくなった食品事業
- 特殊技術による“豆乳アイス“の誕生
- 新コンセプトを持った「Soy」
- 和風調味料が味の決め手を左右
1.繊維や化粧品と共に大きくなった食品事業
クラシエフーズ(株)は1887(明治20)年に、東京綿商社として東京府下鐘ヶ淵に創立した鐘紡(株)が起点となっている。
綿だけでなく、明治時代には織布・錦糸・製糸製造を、昭和に入ってからは毛紡績・化繊・麻紡・ナイロン製造も手掛け、 革新的な技術や作業能率の向上を図り、日本の繊維産業拡大に大きな功績を残した。
また1936(昭和11)年には、蚕のさなぎからとれる油で作られた鐘紡絹石鹸を発売。 化粧品部門にも進出し、“カネボウ化粧品”は一般女性の間で広く愛されるブランドに成長した。
食品事業に参入するのは1964(昭和39)年。カネボウハリス(株)を設立し、主に菓子製造を行った。 翌年には立花製菓(株)を合併し、冷菓事業にも進出。「チューイング・ボン」の大ヒットで事業拡大に拍車がかかった。
さらに和泉製菓(株)と合併した1971(昭和46)年には、チョコレート製品を発売。 以後業界初のカップしるこを投入したり、ノンフライ麺を開発したりと、同社の数ある事業の中でも、 食品が大きな地位を占めるようになった。
ロングセラー素材菓子「甘栗むいちゃいました。」、フレグランスガム「ふわりんか」「オトコ香る。」 などオリジナルな食品も多く、食品専門会社ではない強みを生かしているのも特徴だ。
なお、現在の「クラシエ」という社名は2007(平成19)年に生まれた、全く新しい呼び名であり、 “カネボウ“の歴史の中でも大きな転換といえる。その前年に産業再生機構による支援を終了してから運営の再出発がなされ、 カネボウ・トリニティ・ホールディングス、及びその傘下会社の商号及びコーポレート商標を 「Kanebo」から「Kracie」に変更されたものである。